状況の再現 4
わたしたちにとって、雀は雀にしか見えませんが、鳥をモチーフにする画家にとっては、その一羽一羽の"人相"が違って見えるといいます。
概念的に見ているのではないからです。
子どもにとっては蚕が、絵描きにとっては雀が一匹ずつ違って見えるのなら、我われにも、自分の仕事のそれぞれの状況の"個性"がはっきりと見えてくるはずです。
状況の事実から発想していくための第二は、ありのまま見た事実を、何らかのかたちで再現することです。
状況の事実は、時間的にも空間的にも、ばらばらに、かつ雑然と存在しています。
そこから発想していくためには、それらの事実が、そうしようとする人びとのまえに、一望できるように揃えられなければならないわけです。
そのための工夫を、私は「再現」と呼んでいます。
再現に際しては、事実そのものを持ち込めれば文句なしですが、多くの場合、それはむずかしいのです。
そこで、事実を、何らかの手段によって、代替させなければならないことになります。